エビデンスとは最近よく使われる言葉ですね。 「証拠」や「根拠」などという意味で使われていると思います。今思うとこれに頼って私はジュニアの成長を促していたような気がします。 テニス素人ですから。。。
今まで取りためたテニスの試合のデータや動画などは500に上ります。練習試合から公式戦まで取れるときは全部撮ってきましたのでこうなってしまいますよね。今では動画編集ソフトまで導入して、スコアを入れたりまた、サーブ間・ゲーム間・セット間などの余分な時間をすべてカット編集してデータサイズもかなり圧縮して保存することにしています。またフォームの研究にも動画を使います。
ジュニアテニスペアレンツの皆様もこう思ったことはないでしょうか? 私は我がことのこんな会話から思いました。
親「ここはこうしたほうがいい。」
子「なんで? ここはああしたかったんだよ。」
親「ここでああしたら、相手が楽になるだけだろ。」
子「なんで? あれも入ればよかったじゃんか。」
親「ここはこうしろとコーチも言っていただろ!」
子「こうしなくてもああしても勝てたよー。」
親「・・・・・・。」
今の子供たちには感覚だけの話は通じない>< どうしてこうしなきゃいけないかまできっちりと説明する必要がある!
と感じませんか? 私だけかな・・・。
というわけでこれと徹底的に戦うために私は試合のデータと画像データを駆使してジュニアを納得させたうえで練習に取り組むということをしています。エビデンスを示すだけでここまで前向きになれるのか、と思ったりテニス素人である私の言うことがそこまで信用できないものだったのかとか思ったりしました。効果は覿面でした。
しかしながらこういった方針で育ててきたことによる弊害もありました。形に出たのは、ほかチームのコーチのいうことを全く聞かなかったということがあった時です。何の根拠もなく初めて見てこうしたほうがいい、ああしたほうがいいといわれても何も響かなかったということでした。悪い意味でとても理屈っぽい嫌な奴になっていたのかもしれませんね。なんでそうしなきゃいけないのかわからないのにする必要はありませんといっているような感じもしますね。意味を分からずにやるよりも明確な目標を持ってやることのほうが上達も早いですし、大切だとも思います。しかしそれが周りに人のいうことを聞かないというように伝わってしまってはよくありません。ただ指導者側にも少なからず問題があります。何の根拠もなくこうしたほうがいいといわれて、いつも練習していることと違う指示を出されたジュニアは正直惑います。よってなぜそれが必要なのかを伝えようとする必要性は高いのではないかと思います。いいからいうとおりにやってればいいんだよ!っていうのは今の時代ははやらないのかもしれませんね。今の子供たちって私たちの時よりもいろいろよく知っています・・。
このプレーをこういう風に変えろとジュニアに指示をする際、根拠をきちんと調べ上げたうえで提示します。たとえば、この試合エラーの本数があと7本少なければ勝てたというデータを提示し、なぜそうなるのかを納得させ、そしてそれを実現するためにはこの練習が必要、またはこのプレーをこう変えることが必要だと説明します。そこでジュニアが「なるほど、そうだったのか」と納得したとしますと、次の日からの練習が非常に充実します。何が足りなくて何に取り組むべきかということがはっきりして前向きな気持ちになれるからです。 「なんであそこでせめないんだ!!? あそこはいかなきゃダメだろ!!」 というような抽象的な指導だけではきっと次の日にその試合の成果が生かされることは少ないです。何をどう対策しなければならないのかが非常にあやふやだからです。特に低年齢の時にはこういったことが結構大事なのではないかなと思います。 そのときに取っているデータと、動画データが活きます。納得するための近道です。
先日あった実例はこうです。 1STサーブイン時のポイント率が非常に下がっていました。2NDは特に変わりません。そしてその試合は負けました。ジュニアも感覚的にはわかっていますが、これをあえて数字で示します。そしてその試合のトータルポイントなどを参考にしながら、1STサーブイン率と、1STサーブイン時のポイント数を「○○%」「あと6ポイント1STサーブイン時に取る」ということをすれば勝てるという根拠を示します。 それを踏まえたうえで、1STサーブの改造に取り組みます。またサーブのフォームも好調時と不調時の動画を見比べて修正点を探します。今回は上体に力が入りすぎていて下半身のねじりが使えてない、また以前痛めていた筋肉をかばうフォームがそのまま来てしまっているということになりました。以前のフォームに戻しさらにパワーアップできる具体的なフォーム修正を行いました。前に突っ込む力んだフォームを、力が抜けて体のねじりや前腕の内旋外旋をしっかり使うことを意識することを確認しました。足のトスアップ後の動きなども分析して説明しました。
このように前向きに取り組むことのできる根拠を示すことが、素人である私のやり方です。またそれと同時に、そこまで見ているのかという指導者側の「本気」も見せることができるでしょう。 そしてその課題を克服した後の勝利は、きっと親子で充実感を味わうことになるでしょう。 そして次のステップへ又すすむ。これの繰り返しです。
苦しくなると何かのせいにしたり、何かを頼りたくなったりしたくなることも多いかと思います。その時一度、ジュニアが実際に何を思ってどんなプレーをしているのかを冷静な目で一度見直してみるのも良いのかもしれません。 第三者的な目線で試合の動画を見るといろいろと気が付くことが多いですよ。