ここではどのようにツアーを回っているかという選手たちの実情について知っている範囲でお話しできればと思います。
ITFジュニアツアーはWEB上にカレンダーなどシステムが全部わかる内容のホームページが存在します。そこを見てどうするか具体的な行動を決定していくことになります。 先述したようにグレード5の大会に出るためには一体いつからどこでその大会が開催されているのかということを調べることになります。
国内のITFジュニアですと出られる大会は限られていますのでここでは海外の大会参加についてお話します。
現段階のランキングで出ることができそうな大会をまずピックアップするところから始めるのが普通です。ですので今のポイントで出ることができそうな大会の開催されている国を探して参加します。そしてだいたいの場合一度遠征に出たのならば交通経費なども考えて複数大会に続けて出場するという予定を立てるのが一般的です。
例えばドイツにG5の大会が3週続けて開催されていると確認したとします。そこに参加しようとするならばドイツまでの飛行機を手配し、そして到着から帰ってくる日までの宿泊施設を押さえます。ドイツ滞在中の移動手段なども確認しておきます。そして3大会に参加してポイントを頑張って稼ぐという形になります。
といった感じでツアーに出かけるのですが、そう簡単にできるものではないですよね。。
①まず費用です どうでしょうかドイツまでですと片道10万くらいでしょうか、そして3週間の宿泊代 一晩5000円と考えても10万円、そして毎日の食費、移動交通費、食費、ガットの張替代などを考えますとこの遠征だけで50万くらいは見ておかないといけませんね。航空代金はいま上昇の一途です。大変です💦
②そして参加するのはジュニア選手ですので、学校をどうするかです。
日程調整がなかなか難しいところもあると思いますし、例えばテストの日と重なったらどうするか、また国内の主要大会と日程が重なったらどうするか、3週間休んでも良い学校なのか?などいろいろあります。
③現地で問題なく過ごせるのか?
例えば言葉が全く話せない選手であれば現地でいろいろと困ることもあるかと思います。スマホで何とか切り抜けるのもありですが、言葉が通じずいろいろなトラブルに巻き込まれるような不安もあります。また国によっては治安が悪く子供一人で動くこと自体リスクが大きいということもあるように思います。
様々大変な事情はありますが、こういったことを加味して複数の選手で集まってツアーに参加するということが実際は多いようです。海外経験の豊富なツアーコーチが何人かの選手を帯同していくということですね。これですと上記のいろいろな不安が解消されて安心してツアーに参戦できます。そして現地での空いた時間の活用や、練習相手などにも困りません。ですのでこういった海外ツアーコーチに帯同してもらうというのは非常に現実的なお話でしょう。
次に戦績によって回る方針を変えなければならないということも実情として大きい要素となります。どこまでで線を引いて挑戦を続けるかということです。
日本人選手の多くはジュニアグランドスラム出場を目標にツアー参加することが多いように思います。あるいはやれるところまでということで18歳になるまでずっと参戦するというのもありかと思います。そして最終段階では次の進路に向けた方針を打ち立ててそこに向かうということになるかと思います。
例えば海外の大学に進学希望であれば ランキング○○〇位が必要なのでそこを目指したスケジューリングをする、国内の大学であれば全日本ジュニアでベスト○○の成績が必要なのでITFを中断して国内大会に集中する、プロとして活動したいのでスポンサー獲得のためにもグランドスラム優勝を目指す、テニスの成績が芳しくないので勉強して大学進学を目指すためテニス自体を中断する、、など方向性は多岐にわたると思います。親御さんの経済状況、そして選手の持っている限られた時間、そして望む将来などをいろいろバランスを考えて行動を決めていくことになると思います。
ITFジュニアツアーにてどのような戦績を収めることができるのかというところが今後の方針を決めるポイントです。本気の選手は1年間の半分以上は海外で過ごすことになるでしょう。
やはりこの若さで世の中もまだまだ見れていない年齢の選手たちですが、将来どのような方向に進みたいか、何を目標として今後の人生を過ごしていきたいのか?ということをある程度はっきりさせる必要があるでしょう。それがはっきりしなければなかなか行動を決定することができません。家族でも良く相談しておくことが重要ですね。
傾向としての進路はこんな感じだと思います。
1位~50位 プロへ
51位~100位 プロもしくは海外の大学へ
101位~300位 ジュニアグランドスラム出場を目指す 大学テニスへ
301位~500位 大学テニスをめざす
くらいのなんとなくのイメージはあります。もちろんトップ選手でもプロにならずに大学への道を歩む選手もいますし、200位の選手でもプロとしてそのご活躍を目指す選手もいます。それにトップテンの選手などであればジュニア時代からプロサーキットへすでに参戦している選手がほとんどです。その手ごたえなどから進路を決めていくのでしょう。
たくさんの時間とお金が必要なのが海外ツアーの実情です。メリットとして何を目指してどこのラインまでの取り組みをするのかを決定していくのはきっとその時その時で至難の選択の連続です。勝てば勝ったで次どうするか悩み負けたら負けたで次どうするか悩むという感じでしょう。
各選手世界の壁にぶち当たりそこでこれを乗り越えられるのかどうか、どのレベルで自分はやりたいのかなど現実的な選択をすることになります。